前立腺は、男性だけにある生殖器のひとつです。クルミほどの大きさで膀胱の真下にあり、膀胱から出た尿道が中央を貫いています。
昨今、前立腺がんは、最も増加している「がん」のひとつとして注目を集めており、1975年には前立腺がんの患者様は約2,000人でしたが、2000年には11倍の約23,000人へと増加し、2020年には更に増加して78,000人以上となり、男性の「がん」の中では肺がんに次いで2番目に多くなるものと予測されています。
前立腺がんの検診では、採血だけで済み、診断精度が高いPSA検査が用いられます。
PSAとは、前立腺細胞で特異的に産生される蛋白質で、前立腺癌になると癌細胞から分泌されたPSAは血中に漏れやすくなり、癌病巣が大きくなるにつれて血液中のPSA濃度は高くなります。
※ただし、良性の前立腺肥大症や前立腺に炎症を起こした場合でもPSAは高くなるため、PSAが高いことイコール前立腺癌とは限りません。
前立腺がんの診断の確定には、前立腺生検が必要となります。
血液検査(PSA測定)、MRIなどの画像診断、または触診で前立腺に異常を指摘された方は、前立腺の組織を何ヶ所かから採取して、顕微鏡で検査する「生検」を行います。
細い針で前立腺の組織の一部を採って顕微鏡で調べます。
直腸から超音波検査の器具を入れて画像で確認しながら、「A:直腸から必要な場所に針を刺して」組織を採取します。また、「B:会陰部(肛門の手前)から針を刺す」場合もあります。